キャム・マッコールの思い出の美術館 11本のフレームと11年。驚くべき変化の物語。

キャム・マッコールの思い出の美術館 11本のフレームと11年。驚くべき変化の物語。

トレックのフレームが11本、壁に並んでおり、その1本1本が彼のキャリアをそれぞれ物語っている。そのフレームは栄光ある勝利やひどいクラッシュなど、彼の最高と最悪の両方の経験を飾っている。

マッコールは、YouTube でそれぞれのフレームとの物語を紹介するとき、自分自身も多くの瞬間を忘れていたことに気がついた。毎日のようにフレームを見ていても、思い起こすのは記憶の欠片だけだった。しかし映像を掘り起こし、DVDから映像を編集しビデオを作ったことで、彼は自身の軌跡を完全に思い出した。

 

「振り返ってみれば、これからどうなるのかわからない18歳の自分がいました」と。

「バイクのライドもそうだけれど、当時の自分が話す姿を見るだけでも『子供だなぁ、学ぶことがたくさんあるなぁ』と思いますよ」。

マッコールは現在35歳、スロープスタイルやフリーライドのマウンテンバイク界では『おじいちゃん』である。それでも彼のキャリアは、スポーツそのものの歴史と一緒に歩んできた。

スロープスタイルがまだ始まったばかりの頃、彼は10代。彼が最初に披露するのは、彼のためにカスタムで造られたSession 77。トレックにはまだスロープスタイル用バイクのラインアップがなかったためだ。彼はこのバイクをマウンテンバイクと一緒にテレビ番組『Drop In』に出演し、ブリティッシュコロンビア州を飛び回り、陽気な性格で名を馳せ、同時にTicket Sの原型を披露した。

キャムのお気に入りのバイクは、彼がブレイクした2006年に乗っていたRemedy 。お気に入りのビデオのひとつである『New World Disorder VII』のオープニングにも登場し、数々のコンテストで優勝した一台だ。磨き上げられた鏡面仕上げは、1年間使い込んだことによるへこみや傷の中もあるが、今もなお輝きを放っている。このフレームはいつもマッコールの心と共にあったが、ビデオを作ったことで、その偉大さを改めて思い出した。

 

「1年という時間の中で、どれだけ多くのことをしていたのかと思うと、不思議な気持ちになります」とマッコールは言う。

 

「怪我ばかりしていた年もあったので、回復してまたコンテストに参加したり、撮影ができるぐらいに回復するだけでも、それが1年間で唯一できたことのように思えてしまうんです」。

ビデオを編集していく過程で、彼は自分のキャリアを振り返っていく。マッコールは、最も心に残る思い出は、当時重要だと思っていたレースの結果ではないと気がついた。現在の彼は、残しておきたいと感じたものの集合体だ。彼のYouTubeには、一日中走る冒険、友人とのクリエイティブな挑戦、日常生活の様子など、彼らしい気楽な楽しさでいっぱいである。

このビデオは、マッコールが忘れていたことを思い出すのに役立っただけでなく、今でもわかる昔の自分を改めて見せてくれた。しかもそれをビデオとして保存できただけでなく、2人の子供にも伝えることができた。「それはフレームも同じでした」、と彼は指摘する。2014年のTicket S は、2004年のSession 77 を改造したものとは似ても似つかぬが、長い時間をかけて何が大事なのかを見極め続けてきたもの。表裏一体とも言えるものなのだ。

「最初のフレームはとてもアンティークですが、最後のフレームはとても洗練されています。しかも最後のフレームは実際に注文して買えるんだというのを考えさせられます」とマッコール。「この事実は、トレックがあのフレームを実際に開発したこと、そしてこんな早い時期にこのスポーツを受け入れようとしたことだけでなく、スポーツの進歩そのものについても多くを語っているでしょう」。

マッコールは、このビデオを作ることが、これほどまでのカタルシスをもたらすとは予想していなかった。彼の故郷、オレゴン州ベンドは雪が多く寒いため、YouTubeチャンネルでいつも彼が見せているようなライドができなかったことも、このビデオのアイデアの理由の1つ。しかしビデオのこの編集過程こそが、18歳で “Drop In “のバスに乗って以来、自分がどれだけ進歩できたのかを振り返る時間になった。

 

「あの頃は常に何かに集中していて、全体像はまるで見えていませんでした」とマッコールは言う。「マウンテンバイクがスポーツとして成長して、トレイルライディングがどんどんアグレッシブになっていくのを見るのは、とても誇らしいことだと思います。スロープスタイルやフリーライドは、人々のライドスタイルにも大きな影響を与えていると感じてますし、それだけでなく企業がバイクを開発する方法にも影響を与えています」。

 

「それが今も続いていることに、僕はとても興奮しています。しかも想像していたより格段に大きなものになっているんですからね」。

晴れた日のウィスコンシン州ウォータールーにあるトレック本社外観

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この記事を書いた人: Trek

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