ツールに向けた準備: 第2弾 全3部でお送りする、Trek-Segafredo がツール・ド・フランスで使うすべての装備を詳しく取り上げるストーリー。この第2弾では、選手の回復やギアの整備について紹介する。

ツールに向けた準備: 第2弾 全3部でお送りする、Trek-Segafredo がツール・ド・フランスで使うすべての装備を詳しく取り上げるストーリー。この第2弾では、選手の回復やギアの整備について紹介する。

ツール・ド・フランスでよい走りをするには、体調管理が重要になる。休養の管理から自分に合った栄養補給や回復を行い、効率的に走れるようにしなければならない。

彼らのバイクにも、選手と同じぐらい愛情と世話が必要である。Trek-Segafredo のメカニックは、レースの決定的な瞬間でメカトラブルが絶対に発生しないよう、チームのバイクを最高のコンディションに保つために働いている。

チームは、ツールを走り抜くため、数多くの製品を使う。チームディレクターのマット・シュライバーによると、3週間のレースでバイクを正しく機能させるのに必要なものは次の通り。

 

ディグリーザーを7.5L以上、120ml ボトルのチェーンルーブを6本、ホイールやベアリングに使うグリスを1缶、710ml 缶のディスクブレーキクリーナーを最低10本。

 

補給食の数は衝撃的だ。チームのサポートを行う、エルヴィオ・バーセラ曰く、チームはツール中、エナジージェル800本、エナジーバー400本、レース中に使用する粉末ドリンク30kg、回復用ドリンク2kgを消費する。

 

チームバス、チームカー、バン、トラックに積み込まれる膨大な量の製品は、パートナー企業と密に連絡を取り合い、各ステージに間に合うよう手配される。フレームやコンポーネントは、ツールを含む翌シーズンのすべてのレースを戦い抜くのに必要な数を、前シーズンが終わる頃に注文する。各パートナー企業との長年の協力関係から、注文や手配は比較的スムーズに進む。

Lähikuva Trek Madone -pyörästä, jossa on paikallaan Enervit-juomapullot

サプリメントのスポンサーであるEnervitとTrek-Segafredoは、特に密接に協力している。Enervit の担当者は、新たなシーズンが始まる前の11月、栄養士のステファニー・シエラリンクと会い、チームのフィードバックを尋ね、製品を提供する。Enervit は生産を外部に委託していないため、チームの目標に特化させた新製品を迅速に作り出せる。

 

「私たちはステファニーと協力して、『Carbo Trek』と名付けたレース専用ドリンクを作りました」と、Enervit のブランドマネージャー、フィリッポ・カサロットは言う。「製品の80%以上を社内で生産しているため、常にチームの要求に応えられるよう努力しています」。

 

Lähikuva maantiepyörän ketjun voitelusta

Finish Line は、メンテナンス用品を10年以上にわたりチームに提供してきた。配送センターを世界各地に持ち、そのうちのベルギーのNOW Company が、ツール中のすべての配送に対処できるよう待機している。

 

「この広範囲にわたる供給チェーンがあるから、Finish Line はTrek-Segafredo を支援できています」と、FInish Line のグローバルセールス主任、アレックス・バルーは言う。「チームメカニックから注文を受け、2日以内に届けられることが誇りです」。

Trek Speed Concept -pyörä kiinnitettynä harjoitusvastukseen

新型コロナウイルスは、企業の多くを物流面で悩ませ、配達の遅れや、バイク、コンポーネント、ギアへの供給不足が起きている。

Saris は、チームが使うスマートトレーナーを製造する。ツールに持ち込まれるのは計10台。うち8台が各選手のためにバスに、残りの2台が予備としてチームトラックに積まれる。チームが使うのは、市販されているものと同じモデル。Saris は、ウィスコンシン州マディソンの工場でトレーナーを安全に製造するべく、防護服を導入した。また設備の配置を変えて、従業員同士が適切な間隔を保てるようにした。その上で、膨大な需要にも応えなければならなかった。

 

「今でも大変な状況は続いています」と、カテゴリーマネージャーのブライアン・トゥラニーは言う。「予想を上回る量の製品を出荷していますが、そうでもしないと需要に追いつけません。チームは製品を丁寧に使用してくれているため、急な補充をせずに済んでいます」。

 

「Saris のサプライチェーン部門は、社内で最重要のグループになりました」。

 

Feedback Sports は、提携するチームにバイクツールやトレーナーを提供し続けること15年。サポートの枠を徐々に広げてきた。今後のグランツールのために、バイクスタンドを特注で作るつもりだ。しかし多くの会社と同じく、彼らもまた、去年は需要に思うように応えられず、苦しい思いをしてきた。

 

「幸運にも、私たちの製品はとても丈夫なので、それほど大きな問題ではなく、サポートするチームは寛大です」と、Feedback のマーケティング主任、トーマス・マクダニエルは言う。「要求に応えられないのは心苦しいです。発送が遅れても同じような事態に陥らないために、6月の第2週から来シーズンのチームキャンプに向け、ヨーロッパに製品を送れるよう注文していきます」。

Trek-Segafredo -tallin urheilija palautumassa tiimin bussissa

Hypericeは、マッサージ機や着圧ブーツなど回復用製品を製造しており、去年から今年にかけて、急成長した。

ツール・ド・フランスでは、各選手が個人用のHyperice Hypervolt マッサージ機を持つ。チームバスには2組のNormatec 着圧ブーツが置かれている。装置が故障した場合、Hyperice はできる限り早く予備を届けることにしている。

 

「フランスでは、製品が必要な選手を見極め、1、2ステージ先を見越して確実に製品が到着するよう素早く送るようにしています」と、Hyperice のエンデュランス事業提携主任、ジェシカ・ミラー。「選手はこれまで以上に装置をバスの中で使うことが多くなり、『個人で使いたい』という選手も増えました。連絡をもらったら次のステージまでに渡せるよう手配しています」。

幸運にも、Trek-Segafredo のいくつかのパートナー企業は、大混乱にも比較的耐えられる方だ。Unior は、シーズン前の冬に、チームメカニックに新しいツールを提供する。普段なら、Unior はレースでチームを直接訪ね、製品に関するフィードバックを受ける。そのような顔を合わせてのやりとりは、コロナ禍の去年では行えなかったが、チームはすでに必要なものをすべて手に入れていた。

 

「私たちのツールは生涯使えるため、フィードバックに基づいて新しいツールを追加するだけでいいんです」と、Unior のマーケティングとセールス主任、ブルース・フィナは言う。「チームとは長年密接な関係にあるため、電話やメールをしてもらえれば、必要なものを手配できます」。

 

幸運にも、時を経ても薄れない関係はあるのだ。

晴れた日のウィスコンシン州ウォータールーにあるトレック本社外観

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この記事を書いた人: Trek

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