ロードバイクのフレーム素材は、現在はカーボンが主流で、エントリーモデルを中心にアルミが多く採用されているが、「素材が変わると価格以外に何が違うの?」と疑問に感じている人も多いのではないだろうか。
本記事ではアルミフレームとカーボンフレームの特徴とメリットとデメリットについて解説していく。
コストパフォーマンスに優れたアルミフレーム
アルミロードバイク一覧
アルミは、かつては主流だったフレーム素材で、現在もエントリーモデルを中心に多く採用されている。
価格は控えめながら、重量は比較的軽く、剛性も高いので、ロードバイクらしい軽快な走りを低価格で楽しめるのが魅力だ。トレックのロードバイクでは軽量オールラウンダーのÉmonda(エモンダ)、エンデュランスロードのDomane(ドマーネ)、グラベルロードのCheckpoint(チェックポイント)の3車種にアルミフレームのモデルがラインナップされている。
アルミフレームの魅力のひとつに、比較的ラフに扱えるという点がある。カーボンフレームは、走行時の転倒はもちろん、立てかけておいた自転車を倒してしまうだけでも当たり所が悪いとフレームにひびが入ってしまうことがあり、そのフレームは使用不可となることもある。アルミフレームは走行中によほど激しく転倒したりしなければ、フレームが凹むことはあっても、完全に使用不可になるような事態にはならない。
ラフに扱えるということは、毎日の通勤ライドに安心して使え、安心して輪行を楽しめるということでもある。まだロードバイクに慣れていない方、初めてのロードバイクならアルミフレームが安心と言えるだろう。
ただし、デメリットもある。それはカーボンフレームに比べると振動吸収性に劣ることだ。
路面が荒れた場所を走ると顕著だが、路面の細かい凹凸によって発生する振動を拾いやすく、その収束もやや遅い。路面からの衝撃は少しずつ体にダメージを与え、ロングライドではそれが疲労につながる。とはいえ、太めのタイヤや、厚めのバーテープ、ハンドルやシートポストをカーボン製にアップグレードすることで衝撃を緩和し、快適性を高めることも可能だ。
アルミフレームだからと言ってロングライドを快適にこなせないわけではないので心配は無用だ。
アルミフレームの特徴まとめ
・コストパフォーマンスに優れている
・乗車不可になるほどの破損に繋がることが少ない
・振動吸収性は高くはないが、工夫次第で解消できる
性能ならダントツでカーボンフレーム
カーボンロードバイク一覧
ロードバイクのカーボンフレームが誕生したのは1980年代で、トレックは自転車業界でもいち早くカーボンフレームを開発したトップランナーだ。
TREKでは全てのカーボンフレームが、航空宇宙産業の技術を取り入れた高品質のOCLVカーボンフレームを使用している。カーボンのグレードによって軽さや剛性感、価格が異なるモデルを展開し、用途に合ったモデルが選べるようになっている。
カーボンフレームの特徴は軽さ、剛性の高さ、そして衝撃吸収性の高さだ。特に路面の細かい振動はフレームが比較的速く収束するため、アルミフレームより総じて乗り心地が良い。ロングライドを楽しみたいなら、初めての1台でもカーボンフレームを選択肢に入れるべきだろう。
軽さと剛性がもたらす走りの質に関しては、現在のカーボンフレームは非常に高いレベルに到達している。レースで表彰台を狙うならぜひカーボンフレームのレースバイクを選択してほしい。
剛性は、ペダルを踏んだ力を推進力に変えるのに重要であるとともに、乗り心地にも影響する。ある程度剛性が高くないとパワーをロスしやすいが、剛性が高すぎると乗り心地が硬くなりすぎる。カーボンフレームは、樹脂に浸したカーボンシートを複雑な形にカットし、何枚も重ねて金型に入れてフレームの形に圧着させて作るが、場所によって重ね方や厚み、シートの種類をコントロールすことで、剛性や強度が必要な部分は厚みを持たせ、そうでない部分は薄くしている。ヘッドチューブからダウンチューブ、BB周りは大きなパワーが加わるために比較的厚く、トップチューブからシートステーなどは比較的薄く作られている。アルミではここまで細かいコントロールをすることは困難だ。
こうして軽さと剛性のバランスをいい塩梅で調整するわけだ。だから、レースでもロングライドでも、性能を突き詰めていくとカーボンフレーム一択になるのだ。
しかし、カーボンフレームにも弱点はある。ひとつは扱いに丁寧さが求められるということだ。カーボンフレームは不意に転倒させてしまっただけでも当たり所が悪ければフレームにクラック(割れ目)が入ってしまうことがある。パッと見は問題なさそうでも、フレーム内部にクラックが入っているケースもあり、使用不可になることもありえる。壁などに立てかける際は、風などで倒れないようにしたり、バイクが不意に動かないように確実に立てかけるなど、アルミフレーム以上に慎重に取り扱う必要がある。
もうひとつのデメリットは、アルミフレームに比べると高価であるという点だ。トレックのアルミフレームのロードバイクは10万円台前半から手に入るが、カーボンフレームのロードバイクは最も安いものでも40万円台からだ。価格は性能に比例しているため、高額なバイクの方が軽く、登りや加速時の軽快さが際立つ。だが、そうしたバイクは剛性が高いレース志向の味付けであることが多く、初心者にとって乗り味が硬すぎると感じる場合もあるかもしれない。
カーボンフレームの特徴
・軽量、剛性、振動吸収性と性能面で優れている
・衝撃に弱い
・高価なものが多い
初めての1台は予算と用途で選ぼう
結局、初めてのロードバイクを買うならアルミとカーボンどちらが良いのか?
答えは「ライダーの志向や予算、考え方によるため、一概には言えない」というのが正直なところだ。言い方を変えれば、予算やライダーの志向にあわせてよりよい選択をすることは可能だ。予算や実際に自転車に乗る際に重視したいポイントなどのケース別に、アルミフレームとカーボンフレームのどちらがおすすめかを紹介しよう。
予算で決める場合
十分にある(おおむね40〜60万円以上)
→カーボンフレーム
できるだけ抑えたい(30万円以下)
→アルミフレーム
予算を考える際は、バイクとそれ以外の必需品の購入費用の総額で考える必要がある。初めてスポーツバイクに乗る際は、フロアポンプ(据え置きタイプの空気入れ)、ペダル、シューズ、ヘルメット、ライト&テールライト、携帯ポンプ、携帯工具、サドルバッグなどを追加購入する必要があり、数万円程度必要になる。もしクロスバイクなどからの乗り換えの場合は、すでに持っているアイテムは購入しなくてもよいので、その分バイクに予算を回せる。
性能と予算で決める場合
・レース向けの走行性能
・重量の軽さ
・ロングライドでの快適性
→カーボンフレーム
・通勤などで毎日乗る
・カフェやコンビニなどに立ち寄ることが多い
・ラフに使えるタフさ(フレームが破損しにくい)
→アルミフレーム
軽さや走行性能を最優先するならカーボンフレームがベストだが、通勤などで毎日乗りたいという場合は、あまり高価なバイクだと気軽に乗りにくいという面もある。
通勤途中でどこかに立ち寄ったり、週末ライドの休憩時にコンビニやカフェに立ち寄る際など、頑丈なロックなどで十分に盗難対策するにしても、高価なカーボンバイクは短時間であっても気軽には駐輪しにくい。グループライドで交代で見張りができる場合ならともかく、単独ライドの場合は不安だ。このように、高価なカーボンフレームの自転車よりアルミフレームの自転車の方が気軽に乗りやすいと感じる場面は意外に多い。とはいえ、比較的安価なアルミフレームだから盗難に遭わないわけではなく、盗難対策はしっかりとる必要はある。
悩んだらショップで相談を
アルミフレームとカーボンフレームにはそれぞれ一長一短あり、一概にどちらが良いとは言えない。
性能だけに着目すればカーボンフレーム一択になってしまうが、予算や重視するポイントによってはアルミフレームが正しい選択となり得るということも。
もしひとりで決めるのが難しければ、プロショップのスタッフに相談に乗ってもらうのも良いだろう。いくつか候補を提案してもらい、その中からデザインや色などを気に入ったバイクを選ぶと、愛着がわいて長く乗れるだろう。
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