こんにちは! TREK Bicycle 甲府、望月です。
わたくしのこよなく愛するグラベルロードCheckpointがモデルチェンジ! SLグレードはそのままCheckpoint Gen 3へ、そしてSLRグレードはCheckmate(チェックメイト)と名前が変更になりました。
グラベルロードの新作なら……買わないという選択肢は私にはありません。Checkpoint SL 5 Gen 1、Checkpoint SLR Gen 2を乗り継いできた、わたくし望月は悩みに悩んで、Checkmate SLR 7を買いました。
というわけで、今回はわたくしの購入したCheckmateについて紹介していきます。
私情を多分に含み、書きたいことが多すぎて長文になっていますので、ご了承ください。
Checkpointの歴史
TREKの最初のグラベルロードCheckpoint第一世代は「TREK史上もっとも遊べるロードバイク」というキャッチコピーで登場。前傾姿勢がきつくなくリラックスした姿勢で乗れて、45cまで履けるタイヤクリアランス、フォークやダウンチューブにもアイレット(ダボ穴)ありで、太いタイヤを履いてグラベルを楽しんだり、キャリアに荷物をたくさん積んでキャンプに出かけたり、多彩な遊び方ができるバイクでした。発売当初はグラベルコンポーネントもなかったため、ロードバイクコンポの105やティアグラが搭載されていました、
そして第二世代Checkpointでは、SLRグレードが新登場。SLRはフレームは軽量なOCLV700カーボンを採用、レース向けという位置づけで、軽量化のために荷物を積載するアイレットは少なめ、シートポストもÉmondaと同様にシートマスト形式でした。SLグレードはドロッパーシートポストにも対応し、ダウンチューブストレージ(SLRにもあり)採用。専用バッグがネジでスッキリ装着可能など、さらに遊べるアドベンチャーバイクへとアップデートされました。
そして今回発売された第三世代Checkpoint。アドベンチャー向けのSL、レース向けのSLR、それぞれの路線を突き進んだ結果、ジオメトリも独自のものとなったため、モデル名も変更。
アドベンチャー向けのSLグレードはそのままCheckpoint、レース向けのSLRグレードはCheckmateへと進化を遂げました。Checkpoint SL Gen 3はタイヤクリアランスは50cまで拡張、より快適な姿勢で乗れるグラベルジオメトリ採用、フロントサスペンションにも対応するなど、着実に進化しています。
Checkmateは、TREK初の本格グラベルレースバイク。
海外ではグラベルレースもどんどん増え、世界選手権も行われるように。
グラベルロードも「グラベルをいかに速く走るか」を命題に開発されるようになりました。そして満を持して登場したのが、新作Checkmateというわけです。
遊べるロードバイクの路線を追求したCheckpointとは一線を画し、グラベルレースで勝利をもぎ取れる最速グラベルバイクに仕上がっています。
なぜCheckmateを選んだのか
わたくし望月はレースには出ません(元々日本にグラベルレースはほぼないというのはさておき)。荒れた道を走るのが好きです。バイクパッキングも最近ご無沙汰ですが、やります。それなら、より遊べるバイクに進化したCheckpointを買えばいい、と自分でも思うのですが、Checkmateを買いました。なぜか?
・Checkpoint SLRを凌駕するTREK最速・最軽量グラベルバイクに乗ってみたい
・日本のグラベルシーンを考えて
・自分の最近のライディングスタイルを考えて
・見た目
という4点が主な理由です。
私の住む山梨県は山に入れば、わりとグラベルがある、日本のグラベルシーンのなかでは恵まれた環境だと思います。にも関わらず、遠くのグラベルへのアプローチに数十kmも舗装路を走ったり、獲得1000mを越えるヒルクライムをしなければならないことも日常茶飯事。なので、軽い、速いグラベルバイクはある意味、正義なのです。軽ければヒルクライムが楽です。担ぎ上げるのも楽です。速ければ短時間で目的地に着けます。さらに私のように(もともとそれほどなかった)体力も脚力も昔に比べてだいぶ落ちてきたおじさんは、機材の力に頼りたい笑。もっというと50代に突入間近のおじさんは、体が思う存分に動くうちにハイエンドバイクを乗り回しておきたい。
そして、舗装路をぷらぷら走って脇道に荒れた道を発見したら突っ込む、というライディングスタイルを好み、坂ばかりの地域に住んでいる私は、ロードバイクのような軽快さが欲しい。しばしば脇道に突っ込んで自転車を持ち上げてハイキングになることもあるので、軽いのはやはり嬉しい。
あとは見た目。これ重要です。個人的にめちゃくちゃカッコいいです。写真で見て「うむ、これは良いものだ」と思って注文しましたが、実物はそれを上回るカッコよさ。
というわけで、Checkmateに決めました。
しかし、日本の「グラベル」だけを考えるのであれば、Checkpointのほうが向いていると思います。ガレた路面が多くてタイヤは太いほうがいいですし、下りでドロッパーシートポストが欲しいシーンもたまにありますのでドロッパー装着してみたい。Checkpointに後ろ髪を引かれる思いもありますので、そのうち追加で買ってしまうかもしれません笑
Checkmate SLR 7の特徴をチェック
Checkpoint SLRからさまざまな変更点があります。カタログには載っていない細かい点までチェックしていきましょう。
スペックなどはこちらのCheckmate公式ページもご覧ください。
フレーム
Checkpoint SLRよりアグレッシブでレーシーなジオメトリを採用。トップチューブが長かったCheckpoint SLRよりだいぶ短くなり、チェーンステーも短く。ホイールベースは1.9cm短く(54cm、Mサイズで比較)反応性を高めています。そして、Madone Gen 8と同じフルシステムフォイル・エアロチューブ形状を採用。ライダー+バイク全体でエアロ形状になるように計算されており、風の抵抗を極限まで低くできます。そしてCheckpoint SLRではOCLV700カーボンでしたが、CheckmateではOCLV800カーボンを採用。より軽量で剛性も上がっています。おかげでフレーム重量は、Checkpoint SLRより280g軽量に。また、フレームは電動コンポーネント専用です。
ハンドル
ハンドルはMadone Gen 8と同じTrek Aero RSL Roadハンドルバー。軽量でよりエアロなステム一体式のハンドルです。フレア形状で下ハンドル部分がブラケット部分より3cm広くなっています。リーチが短くて握りやすく、振動吸収性も高め。正直、かなりお気に入りのハンドルです。ブレーキホースはハンドル内部を通っていて、外からケーブル類は一切見えないフル内装となっています。ハンドルを変えたい場合、ヘッドパーツを変更すれば、汎用ステムとハンドルも取付可能。Blendrシステムにももちろん対応していて、専用パーツが付属しています。
IsoSpeed
シートポストがしなって振動を吸収してくれるおなじみのシステム、IsoSpeedは健在。Domane Gen4のSL、SLRと同じものが採用されてます。第二世代まではカバーがあったのですが、今回からネジ山がむき出しに……。軽量化?
シートポスト
シートポストの固定ネジはトップチューブ上面に。マグネットがついたカバーをパカッと開くとネジにアクセスできます。見た目もスッキリでグラベルで巻き上げた埃などが入りにくい構造。ちなみにシートポストは、Domane SL・SLRと同じKVF Aeroカーボンシートポストで、汎用のシートポストはつけられません。
UDH採用
UDH(ユニバーサルディレーラーハンガー)を採用。UDHコンポーネントを装着可能のほか、ディレーラーハンガーをバイク専用のものを使わなくても良くなりました。トラブルの際にも対応しやすいです。
タイヤクリアランス
装着可能な最大タイヤ幅は45mm。これはCheckpoint SLRから変更なしです。公式見解としてタイヤとフレームとのクリアランスが4mmあればOKなので、45mmよりちょい太いタイヤでもいけそうですが。ちなみに、ヘッド部分のTREKおなじみヘッドバッジはCheckmateにはありません。シンプルなロゴのみになっております。ちょっと寂しい。
タイヤとホイール
私が購入したCheckmate SLR 7は、ボントレガーGR1タイヤの40cが装着されていました。もちろんチューブレス仕様。初期ロットはおそらくこのタイヤで順次、グラベルタイヤの新作Girona RSLが装着されていくはずです。ホイールはAeolus Pro 3Vが装着されていますが、Checkpoint SLRから使っていた手持ちのAeolus Pro 49Vに変更しました。
サドル
サドルはカーボンレールのAeolus Proサドル。170gと、とても軽い。エアロな前傾姿勢をとれるフィット感になっています。軽い分、パッドは少なめ。慣れていないとお尻が痛いかもしれません。
新型アドベンチャーバッグ
Checkpoint第二世代と同じく、アイレット(ダボ穴)を使って、ベルトを使わず付属のネジで専用設計された新型アドベンチャーバッグをすっきりと取付可能。Adventure Top Tubeバッグ、Adventure Triangleバッグ、Adventureフレームバッグの3種。これらのバッグに関してはまた別記事で紹介します。ちなみに旧アドベンチャーバッグはアイレット位置がまったく合わないので、すっきり取り付けはできません。
ダウンチューブにもアイレット
ダウンチューブ下にもアイレットがあるのでボトルケージを取付可能。このあたりもCheckpoint第二世代から継承。ちなみに飛び石からフレームを守るカーボンアーマーは、透明で軽量なものに変更に。わかりにくいですが、この写真ですでに付いています。
内蔵ストレージ排除
Domane Gen 3から登場したダウンチューブの内蔵ストレージ。いまや様々なバイクメーカーのグラベルバイクで採用されていますが、Checkmateでは軽量化のために排除されました。軽くするためにサクッと削除するこの姿勢、好き。Checkpoint SLRではパンク修理キットを持ち運ぶのに見た目スッキリにできて重宝していたのでちょっと残念ですが、これはこれでアリですね。ちなみにCheckpoint SLRは3年近く乗りましたが、ストレージに入れていた修理用チューブを使うことはありませんでした…。わたくし、パンクしない運は強め。
コンポーネント
SLR7のコンポーネントはSRAM Force eTap AXS。フロントシングルでリア12速。フロントは42T、リアは10-44Tが付いており、最初からQUARQのパワーメーターが内蔵されています。変速はワイヤレス操作なので配線が一切なく、見た目シンプルなのが素敵。レバーからはブレーキホースのみ出ていますが、ハンドルに内装されているので見えていません。
ちなみに、Checkmateは今のところSRAM組みの完成車のみ。シマノGRX Di2を使いたいならコンポーネントを組み替えるしかありません。余談ですが、パワーメーターが付いたおかげでクランクの穴がなくなり、写真を撮るためにそのへんに落ちている棒でバイクを立てるのが難しくなりました笑 前は穴に棒がハマって安定していたので。
フロントディレイラー台座
フロントディレイラーの台座はフレーム一体型から、別体でネジで取り付けるタイプに変更になりました。フロントシングルで運用する場合、とても見た目がスッキリするので良いアップデートですね!
スルーアクスル
スルーアクスルはDomane AL Gen 4から採用された、フレームから飛び出ないタイプに変更。ぶつけて傷になりにくく、わずかながらエアロ効果もあると思われます。
遊び心あるデザイン
チェスの「王手」の意味であるCheckmate(チェックメイト)がバイク名だけあって、フロントフォークにはチェスの盤面、シートチューブ裏にはチェスの駒のナイトが描かれています。TREKのこのような遊び心、好きですね。
Project One対応
Checkmate SLRはもちろんProject Oneにも対応。ハンドル幅、ステム長、サドル幅、クランク長などを自分の好きなサイズに変更できます。Checkmate SLRは完成車はフロントシングル仕様ですが、フロントダブルにも変更可能。また、アップチャージ料金はかかりますが、世界に一台、自分だけのオリジナルカラーのバイクをオーダーもできちゃいます。もう所有欲満たされまくりですよ〜。カラーやコンポーネントシミュレーションは公式サイトで行えますので、ぜひお試しください。
シミュレーションサイトはこちら Project Oneバイク ビルダー
ただ、前述のフロントフォークのチェス盤デザインは、プロジェクトワンでカラーデザインすると消えてしまうんですよね……。このマークもそのままで好きな色に変えられたなら頼んでいたのに、それが残念。
実測重量
箱から出してホイールを手持ちのAeolus Pro 49Vに変えただけの状態で重量を測ったところ、7.88kg。さすが軽量化のためにいろいろ削っただけありますね。グラベルロードにしては、かなり軽い! SRAM RED AXS採用のSLR 9にしたらあと400gは軽くなりそうです。
【インプレッション】実際に乗ってみた
さて、まだ舗装路、未舗装路合わせて600kmほどしか乗れていないですが、乗ってみた感想を。とにかく、軽い、速い、快適、の三拍子揃ったバイクです。ハンドルとフレーム形状はMadone、シートポストとIsoSpeedはDomane、タイヤクリアランスや積載性はCheckpointと、それぞれのバイクのDNAをもっているCheckmate。遅いわけがない。速度域はロードバイクとほぼ同じで、その速度域のままグラベルに突っ込んでいけます。
ジオメトリがアグレッシブになりロードバイクに近くなっていますが、前傾がキツいと感じることはないです。まあ私がハンドル一切下げていないからというのもありますが笑
平坦はとにかくガンガン進みます。私のように脚力がない人でもぐんぐん進むので、乗っていてとにかく楽しい、気持ちいい! 気持ちよく進みすぎるので調子に乗って踏んでいると、足が売り切れるのも早いです笑 カーボンがOCLV700から800になり、Checkpoint SLRより明らかに硬い、と感じますね。BB周りがゴツくなっているのも影響していると思いますが。がんがん踏むより、くるくる回すペダリングを意識したほうが良さげ。
ホイールベースはCheckpoint SLRより短くなりましたが、それでも長め。BB下がりはCheckpoint SLRより大きくなっており、ドッシリ低重心でグラベルではフラフラすることなく、安定して進みます。
乗り心地はIsoSpeedとワイドリム、ワイドタイヤのおかげで極上、ふわふわ。ワイドタイヤのチューブレスは空気圧ひとつでだいぶ乗り心地が変わるので、タイヤごとに自分に合った”美味しい空気圧”を探すのが楽しいです。
ヒルクライムはバイク自体が軽くなったおかげで楽になりました。Checkpoint SLRよりフレーム、サドル、ハンドルなど全体で450gは軽くなったでしょうか。上りはÉmondaやMadoneのようにダンシングでぐいぐい進ませるのではなく、シッティングで軽いギアでくるくる回していくのが気持ちいいです。SLR7だとフロントシングルでギア比0.95があるのがありがたい。フロントのチェーンリングを40Tや38Tに変えて、さらに軽くするのもアリだなあと思っているところ。SRAMのAXSコンポはギアの使用比率をデータで見られるのですが、トップの10Tはほぼ使っていないので、わたくし…。
そして、ハンドリングはCheckpoint SLRより軽やかになりました。ロードバイクに比べホイールベースは長めですが、曲がりにくいような印象はありません。舗装路、グラベルの下りでも安定して曲がれます。長い下りはフルシステムフォイルの効果がもろに出て、やたらと速いので最初は驚きますよ。
SRAMコンポは初めて使ったわたくし。初めは11速のGRX Di2に比べてブラケットが大きいので多少違和感があったのですが、すぐに慣れました。12速になり、以前の11速時代より、様々なシーンでちょうどいいギアが見つけやすくなったのが嬉しい。ボタンが一個しかないのでシンプルで間違えないの もいいですね。AXSアプリを使えばボタン操作も好きに割り振れます。といってもアップかダウンか、だけですが笑 予算に余裕があるならSLR9にして新型REDを試したかった……。13速でハンガーなしのフルマウントシステムはまさに新時代のコンポーネントです。レバーはForceのままでもRED XPLRのリアディレイラーは動くそうなので、そのうち変え……ちゃう?
バイク本体ではないですが今のところ唯一の不満点は、新型アドベンチャーバッグの容量減少。私の乗るMサイズのフレームバッグ容量は2.5L→2.0Lに。そのせいで通勤時にフレームバッグに入れて持ち運べていた弁当箱が入らなくなってしまいました笑
Checkpoint第二世代に比べてトップチューブが短くなったのでバッグ容量が減るのは必然なのですが……うーん残念。
というわけでCheckmate SLR、とにかく軽快なので太めのロードタイヤを履かせてオンロードを快走したり、極太グラベルタイヤを履かせて限界グラベルライドしたり、いろいろ楽しめるバイクです。ホイールを複数所持してその日の気分で乗り味を変える、なんて運用もいいですね。レースバイクですがTREKのレースバイクは、私みたいに脚力がない人でも存分に楽しめるのが特徴で、このCheckmateでもそれを感じます。これからアンバウンドグラベルのようなグラベルレースに出場したい方はもちろんオススメ。私のようにレースに出ないけど、荒れた道だろうが気にせず突っ込んでサイクリングを楽しめるロードバイクが欲しいという方にも、Checkmateは超オススメです。
ルックスはめちゃくちゃカッコいいですし、見ているだけでニヤニヤできますよ笑 私の出勤日には甲府店に展示してありますのでぜひご覧ください。
私が記事を書きました!
甲府店ストアマネージャー 望月利憲
この記事を書いた人: Trek
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