電動アシストマウンテンバイク「eMTB」その特徴や楽しみ方は? マウンテンバイクを全力で楽しみたい人に

電動アシストマウンテンバイク「eMTB」その特徴や楽しみ方は? マウンテンバイクを全力で楽しみたい人に

Robb Thompson Photo

進化するマウンテンバイク

 

誕生から40年以上が経過したマウンテンバイク。

年月と共に進化を果たし、カラーやサスペンション有無のほか、今では乗りたい場所にあわせた設計のバイクが選べるようになった。電動マウンテンバイク”eMTB”もその1つだ。

本記事では、日本ではまだまだ少数派な「eMTB」の知られざる魅力や、さまざまな楽しみ方、そしてTREKのラインナップ比較について解説していく。

eMTBとは?

eMTBとは、電動アシスト機能を搭載したマウンテンバイクのこと。

シティサイクル用として1990年代に登場した電動アシスト自転車だが、近年ではロードバイクやグラベルバイク、そしてマウンテンバイクにもアシストの機構が搭載されており、今ではスポーツバイクにモーターが搭載されているのも当たり前の時代となった。

eMTBはマウンテンバイクそのものと、バッテリー、そしてモーターユニットで構成されている。ペダルを回せば常に一定のアシストが掛かるわけではなく、モーターはコンピューター制御されており、ペダルの踏み方やシチュエーションに応じた走行モードの選択も可能だ。

その挙動はとても精緻で、ライダーがここぞと望むタイミングでは力強くアシストがかかる。

日本では道路交通法があるため、24km/hまでしかモーターが駆動しない設計となっている(道路交通法施行規則第一条の三)。とはいえマウンテンバイクそのものの巡航速度はさほど高いわけではなく、平地やトレイルヘッド(山道の入り口)への登り坂、低速〜中速域で巡航する山の中など、さまざまな場所でその真価を思う存分発揮してくれる。

eMTBの特徴

eMTBの特徴は大きくまとめると以下の通り。

  • アシストは一定ではなく、ライダーの乗り方に合わせてコンピューター制御されている
  • 平地では24km/hまでのアシストだが、登り坂や山中では状況に合わせて充分に力を発揮してくれる
  • 年齢、性別、スキルのレベルを問わずどんなライダーにもオススメできる。

eMTBには「バイクの重さ」や「アシストの違和感」など、電動アシストに対する先入観がある方も少なくはないだろう。フルサスペンションのTREK「Rail」は約23kgと、軽量なMTBと比較すれば倍ほど違う。

しかし、自転車を担いで登るようなトレイルでもなければ、アシストが利くためその重さを感じることは少ない。

またアクティブな動きについても、バッテリーの存在を前提にした設計のおかげで取り回しも安易に。長時間、eMTBで楽しんでいると「電動アシストがついているか否か」という境界線は溶け、ただただ快適に山道を走っていることに気がつくはずだ。

また電動アシストの加減はかなり細かい設計がなされており、様々なレベルの乗り手とも親和性が高い。平坦なオフロードを走る中速域でも速度を上げるのではなく緩やかにペダリングを支えてくれるため長時間のライドでも疲労感の低減に貢献してくれる。

勾配が上がるにつれて徐々にアシストのかかり具合がアップし、急勾配では自身のパワーよりもユニットからのパワーの方が大きくなる。ライダーがペダルを踏み込む動きに合わせて巧みに走りをサポートしてくれるため、岩や根っこの位置をしっかり捉えながら、次にタイヤを乗せる場所をイメージしてトライできる。

どんな⼈におすすめ?

eMTBは「とにかくマウンテンバイクを楽しみたい」全ての人におすすめだ。

  • トレイルライドでとにかく楽をしたい人
  • 脚力差のあるパートナーとライドを楽しみたい
  • 一味違うマウンテンバイクが欲しい

中級から上級者、マウンテンバイク玄人の方にも新たな発見や体験をもたらしてくれるマシンだと言える。

いつもは自動車を使って足を運んでいた標高の高いトレイルヘッドにも、eMTBであれば難なくたどり着ける。レベルの違う仲間同士が足並みを揃えるために違ったアシストで走る時も、新たな道を探索する時も、電動ユニットが気持ちすら後押ししてくれるだろう。

eMTBをどう楽しむか?その答えは、乗り手が普段マウンテンバイクをどう楽しんでいるか、という質問に同義かもしれない。年齢、性別、スキルのレベルを問わず、どんなライダーをもリニアにサポートしてくれるマシンといえるだろう。

TREKのeMTB紹介

現在TREKでは、eMTBが2車種ラインナップされている。ハードテイルの「Powerfly(パワーフライ)」とフルサスペンションの「Rail(レイル)」。それぞれどのような特徴があるのか。そのスペックを覗いてみよう。

共通点は?

「Powerfly」と「Rail」、この2車種はBosch製のPerformance Line CXが搭載されている。バッテリーは着脱が可能で、自動車に載せて運ぶ際などもワンタッチで取り外しが可能だ。

走行距離はパワーモードや地形、積載量など走行条件によって変わるが、32〜160km。1日遊び倒すには十分だ。

また、ボッシュは特定の走行環境での走行距離の推定に便利な「航続距離シュミレーター」を用意しており、実際のライドを想定した走り方で何キロまで走行が可能かシミュレーションすることできる。

Powerfly

アルミ製のハードテイルフレームに、Bosch製のアシストユニットを搭載したモデル。

XS〜XLまで5つのサイズが用意されており、身長や体格関係無く豊富な選択肢がある。また、各サイズに合わせてサスペンションのストローク量やホイールサイズが変化するなど、乗り手に寄り添うモデルといえる。

以上の特徴から初心者専用モデルとも読み取れるが、12速のギアやRockShox製のRECONフォーク、チューブレス対応のホイールなど、トレイルライドを楽しむには十分なパーツ構成となっている。

フルサスペンションモデルのRailと比較すると、ヘッド(フレーム前方の寸法)が立っているため、低〜中速域での取り回しに向いているため入門者でも扱いやすい。登りが多いトレイルや、コンパクトな山道では電動アシストと合わせて活躍してくれる1台だ。

Rail

フロント160mm、リヤ150mmストロークのサスペンションを搭載した、フルサスペンションモデルが「Rail」だ。

標準搭載されている29×2.6インチのタイヤは、安定感のある太さと共にシチュエーション関係なく高いグリップ力を発揮してくれる。フレームの設計志向も走破性能へ振っているため、高い走行性能を誇る。

低速での大きな段差から、流れるような高速域のコースまで幅広く対応。一般的に下りの走行に特化したモデルは登りを苦手とする場合が多いが、そこは電動アシストが性能を発揮してくれる。登り下り共に勾配が急なトレイルも、Railであれば難なくこなせるだろう。

今回はeMTBの魅力についてご紹介した。冒頭にもあった「先入観」を払拭しきるには、体験をした人の数と時間がもう一押し必要なのかも知れない。しかし、E-mailがただの「Mail」になってしまったことと同じく、eMTBがただの「MTB」として認識されるのも、そう遠い未来ではなさそうだ。

この記事を書いた人: Trek